競艇のオッズは締切1分前からまだ動く。1番人気は8.9倍→8.6倍に縮み、大穴は1149倍→1571倍に広がる
競艇のオッズは、締切1分前から確定までの間にまだ動く。人気側は縮み、不人気側は広がる。1番人気だった買い目は平均8.9倍が8.6倍へ、81番人気以下の大穴は平均1149倍が1571倍へ。2026年7月23日から8月29日までの4,787レース・571,740通りを集計した。
締切の1分前、画面に出ている1番人気を見て舟券を買う。レースが終わってから確定オッズを見ると、さっき見た数字と違っている——競艇をやっていれば一度は経験する引っかかりだと思う。この記事は、その最後の1分に何が起きているのかを、締切前のオッズの記録と公式の確定オッズを突き合わせて数えたものだ。
先に断っておくと、ここで見ているのはオッズの動きであって、レースの結果や、舟券をどう買うかの話ではない。 どの買い目が来るかは、この集計からは分からない。分かるのは、締切1分前の画面に出ているオッズが、確定までにどちらへどれだけ動くか、ということだけだ。
締切前のオッズの推移は、人気の順にきれいな階段になる
| 締切1分前の人気 | 1分前の平均 | 確定の平均 | 1分前の中央値 | 確定の中央値 | 中央値の倍率 | 平均下落率 | 対象数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 8.9倍 | 8.6倍 | 8.1倍 | 7.8倍 | 0.974倍 | 2.6% | 4,875通り |
| 2〜3番人気 | 11.9倍 | 11.6倍 | 11.2倍 | 10.7倍 | 0.972倍 | 2.8% | 9,594通り |
| 4〜9番人気 | 20.6倍 | 20.5倍 | 20.3倍 | 19.8倍 | 0.993倍 | 0.6% | 28,712通り |
| 10〜20番人気 | 43.7倍 | 45.3倍 | 41.9倍 | 42.5倍 | 1.033倍 | -3.1% | 52,643通り |
| 21〜40番人気 | 108.4倍 | 118.7倍 | 95.7倍 | 101.3倍 | 1.074倍 | -7.7% | 95,781通り |
| 41〜80番人気 | 335.4倍 | 402.3倍 | 280.7倍 | 316.7倍 | 1.131倍 | -16.1% | 191,030通り |
| 81番人気以下 | 1149.0倍 | 1571.1倍 | 930.9倍 | 1212.0倍 | 1.267倍 | -33.0% | 189,105通り |
競艇のオッズはなぜ締切直前に動くのか
最後の1分にも金が入り続けているからだ。 オッズは主催者が決める値ではなく、売れた金額の配分そのものである。ある買い目に金が集まればその買い目のオッズは下がり、集まらなければ、他が売れた分だけ相対的に上がる。締切1分前の画面は、確定した結果ではなく途中経過だ。
そして最後の1分に入る金は、方向が揃っている。展示や直前の情報を見てから決める人ほど買うのが遅くなり、その判断は無難なところへ寄りやすい。遅い金ほど人気側に集まるという一方向の偏りが、そのまま上の階段になって出ている。 競艇のオッズが変動するのはなぜかという問いへの答えは、この一点に尽きる。
20.6倍が20.5倍。動きが止まる段がある
階段の途中に、ほとんど動かない段がある。4〜9番人気の帯だ。平均20.6倍が20.5倍になっただけで、中央値で見ても0.993倍と、ほぼその場にとどまっている。
ここが折り返し点になっている。 これより人気の側では縮み、これより下では広がる。人気側へ集まる金の圧力と、不人気側から金が引いていく力が釣り合う場所が、この帯にあるということだ。ここばかり買っている人は「締切前にオッズは動かない」と感じることになるが、それは階段の踊り場に立っているからで、一段ずれれば景色は変わる。
競艇の大穴のオッズは、締切前にむしろ上がる
大穴のオッズは締切に向かって上がる。 81番人気以下の帯は平均1149倍が1571倍に、中央値では930.9倍が1212.0倍になっている。締切1分前に見た配当より、確定した配当のほうが高い。
以前この集計を「当たった買い目だけ」で行ったとき、大穴の帯はほとんど動かないという結果が出ていた。今回それが誤りだと分かった。というより、見ていたものが違った。当たった大穴だけを取り出すと、それは締切間際に買われた大穴に偏る。買われたからオッズが縮み、縮むほど的中する側に寄っていた買い目である。母集団を全部にすると、大穴の大半は買われないまま置いていかれ、オッズは広がる。
同じことは1番人気でも起きている。結果で条件を付けると、下落は倍近く大きく見える。
当たった買い目だけを見ると、下落は倍近く大きく見える
| 締切1分前に1番人気だった買い目のうち | 平均下落率 | 中央値 | 対象数 |
|---|---|---|---|
| 当たった買い目だけ | 5.1% | 4.5% | 507通り |
| 外れた買い目だけ | 2.3% | 2.2% | 4,368通り |
| すべて | 2.6% | 2.6% | 4,875通り |
当たった買い目だけを見ると平均5.1%縮んでいるが、外れた買い目だけなら2.3%、全部あわせると2.6%だ。「当たったもの」は締切間際に買われたものに偏るので、下落が大きく出る。結果を知ってから条件を決めたことによる見かけの差で、選択バイアスと呼ばれるものの実例になっている。
以前の集計では、確定オッズが的中した買い目にしか手に入らなかったため、この5.1%に近い数字を主役に置いていた。読者が1分前の画面で見ている1番人気が実際にどれだけ縮むかは、2.6%のほうだ。全120通りの確定オッズを取り込めるようになったことで、「当たった買い目だけ」という但し書きは要らなくなった。
パーセントで見ると、大穴側だけ大きく見える
表には平均下落率も載せているが、この記事が倍率を主役にしているのには理由がある。下落率は元のオッズに対する割合なので、縮む方向には割合の上限があるのに対し、広がる方向には上限がない。
81番人気以下は中央値で1.267倍に広がっただけだが、これを下落率に直すと平均-33.0%という、いかにも大きな数字になる。同じ動きでも、%は不人気側だけを誇張して見せる。読者が体で分かるのは倍率のほうなので、本文は倍率で語ることにした。
早く買っても、安くは買えない
念のため書いておくと、**舟券はいつ買っても払戻は確定オッズで計算される。**締切1分前に8.9倍と表示されていた買い目を、その8.9倍で買えるわけではない。オッズが動くというのは、早く買えば高い配当が取れるという話ではなく、画面に出ている数字が締切まで変わりうる、というだけのことだ。
この数字は何から作ったか
- 対象期間: 2026年7月23日〜8月29日
- 集計に使ったレース: 4,787レース(確定オッズを取り込めた4,944レースのうち)
- 集計に使った買い目: 571,740通り(うち的中した買い目は4,785通り=0.8%)
- 締切1分前のオッズ: 自前のポーラーが公式サイトから記録したもの
- 確定オッズ: 公式サイトの過去レース「締切時オッズ」。取り込み時に、的中した買い目のオッズが公式の払戻と一致するかを1レースずつ照合している
- 除外1: 締切1分前のオッズが記録されていない157レース。うち143レースはポーラーの稼働開始直後(2026年7月23日とその翌日)にあたる
- 除外2: 事前欠場のあった45レースについて、欠場艇を含む2,700通り(公式ページでも空欄)
- 含めた1: 表示上限に張り付いた67通り(0.012%)。除いても平均はほとんど動かない
- 含めた2: 返還・同着で払戻が計算し直された76レースと、不成立の2レース。見ているのは締切前のオッズの動きであり、レース後の払戻の計算は関係しないため
締切1分前の画面は、確定した結果ではなく途中経過だ。 そこから人気側はもう少し縮み、不人気側はもう少し広がる。
では、順位そのものはどうなのか。画面の1番人気は確定した時点でも1番人気なのかを、同じ期間の同じレースで数えた続きの記事がある(締切1分前の1番人気は、確定でも1番人気だったか)。
払戻そのものが画面の倍率とどれだけ違うかは競艇で当たった3連単の払戻は、締切30分前に見た倍率とどれだけ違ったか、急に下がった目が実際に来たのかは競艇で締切前にオッズが半分以下になった3連単は、来やすくならないにまとめた。
その途中経過をそのまま見られるようにしたのが WAKE ODDS で、締切前のオッズの推移はトップページから見られる。