競艇の1番人気が締切直前に入れ替わる確率は15.4%。2番人気と並んだレースだけ42.1%に跳ねる
競艇で締切1分前に1番人気だった買い目は、確定時点でも84.6%が1番人気のままで、入れ替わったのは15.4%(6.5レースに1回)だった。ただし1番人気と2番人気が並んでいるレースに限ると、42.1%で入れ替わる。2026年7月23日から8月29日までの4,787レースを数えた結果だ。
締切の1分前、画面のいちばん上にある買い目を見て舟券を買う。そのとき見ている「1番人気」は、締切までの残り1分でまだ動く。前回の記事で、最後の1分に人気側のオッズが縮み、不人気側が広がることを示した(締切1分前から確定までに、オッズがどれだけ動くか)。では、順位そのものはどうなのか。画面の1番人気は、確定した時点でも1番人気なのか。今回はそれを数えた。
先に断っておくと、ここで見ているのは、金がどこに集まったかの順位であって、レースの結果ではない。 人気が入れ替わったレースが荒れやすいかどうかは、この集計では分からない。分かるのは、締切1分前の画面に出ている順位が、確定の順位とどれだけ同じか、ということだけだ。
締切1分前の1番人気は、8割がそのまま1番人気で終わる
| 確定時点では | レース数 | 割合 |
|---|---|---|
| そのまま1番人気 | 3,975 | 84.6% |
| 2番人気へ | 561 | 11.9% |
| 3番人気へ | 120 | 2.6% |
| 4〜9番人気へ | 43 | 0.9% |
| 10番人気以下へ | 0 | 0.0% |
| (合計) | 4,699 | 100.0% |
入れ替わっても、遠くへは行かない
15.4%で入れ替わるが、落ちる先はほぼ隣だ。 入れ替わった724レースのうち77.5%は2番人気止まりで、4番人気より下まで落ちたのは43レース(全体の0.9%)しかない。10番人気以下まで落ちた例は、4,787レースを通して1件も無かった。
1分前の時点で1番人気になっているということは、そこまでに相当な金額がその買い目に集まっているということだ。残り1分で入る金では、その積み上がりをひっくり返すには足りない。順位が変わるとしても、すぐ下と入れ替わるのが精一杯になる。
逆向きに数えても同じ形になる。確定時点の1番人気のうち、締切1分前に4番人気以下だったものは69レース(1.5%)だけだった。ただしこちらはゼロではない。落ちる側は4番人気より下へ行きにくいのに、上がる側はまれに下から駆け上がってくる。締切間際に一点へ金が集中すれば、順位はいくらでも上げられるからだ。
では、いつ入れ替わるのか
締切1分前の時点で、2番人気のオッズが1番人気の1.05倍未満なら、42.1%の確率で1番人気が入れ替わる。 逆に1.8倍以上離れていれば、入れ替わるのは0.6%しかない。入れ替わるかどうかは、1番人気と2番人気がどれだけ離れているかでほぼ決まっていた。
下の表は、その差の大きさでレースを5つに分けたものだ。差は「2番人気のオッズ ÷ 1番人気のオッズ」で、1に近いほど2つが並んでいることを表す。
| 締切1分前の1〜2番人気の差 | そのまま1番人気 | 入れ替わった | レース数 |
|---|---|---|---|
| 1.05倍未満(ほぼ並び) | 57.9% | 42.1% | 653 |
| 1.05〜1.15倍 | 76.2% | 23.8% | 1,290 |
| 1.15〜1.35倍 | 91.7% | 8.3% | 1,545 |
| 1.35〜1.8倍 | 98.9% | 1.1% | 1,054 |
| 1.8倍以上(独走) | 99.4% | 0.6% | 157 |
並んでいるレースと独走しているレースでは、1番人気の維持率が57.9%から99.4%まで開く。 差が一段開くごとに維持率が上がっていき、途中に逆転は無い。
理屈は単純で、並んでいれば追い越すのに必要な金額が小さいからだ。オッズが拮抗しているということは、その2つに集まっている金額もほぼ同じだということで、最後の1分に入るわずかな金額でも順番が入れ替わる。差が開いているレースでは、その差を埋めるだけの金が1分では入らない。
つまり「競艇の1番人気は締切直前に変わるのか」という問いには、レース単位では答えられない。画面の1番人気と2番人気がどれだけ離れているかを見れば、そのレースが入れ替わりやすいかどうかはその場で分かる。
順位が下がるほど、当てにならなくなる
| 締切1分前の人気 | 確定でも同じ人気だった | 1番人気へ上がった | レース数 |
|---|---|---|---|
| 1番人気 | 84.6% | — | 4,699 |
| 2番人気 | 67.8% | 12.3% | 4,617 |
| 3番人気 | 56.8% | 3.2% | 4,604 |
同じ「人気順」でも、上と下では確からしさがまるで違う。 1番人気は84.6%が同じ順位で終わるのに対し、2番人気は67.8%、3番人気は56.8%まで下がる。3番人気に至っては4割以上が別の順位に移っている。
これも金額の話だ。下の順位ほど、隣との差が金額にすると小さくなる。1番人気と2番人気の間には大きな金額差があることが多いが、3番人気と4番人気の間はわずかしかない。少し買われただけで順番が入れ替わる。
上位の顔ぶれは、どれだけ入れ替わるか
上位3つの顔ぶれは、32.9%のレースで入れ替わっていた。3レースに1回だ。ただし中身を見ると、入れ替わるのはたいてい1つだけで(31.4%)、2つ以上が入れ替わったレースは1.5%しかない。平均すると3つのうち2.66個が同じ買い目だった。
上位10まで広げると平均9.21個が同じで、顔ぶれはほとんど変わらない。最後の1分に起きているのは、圏の出入りではなく圏内の並び替えだ。 買われる買い目は締切の1分前にはもう決まっていて、残り1分で動くのはその中の順番だけ、ということになる。
場のクセは、見つからなかった
競艇では「この場は荒れる」「この場は堅い」という語られ方をよくする。順位の入れ替わりについて、それが出るかどうかを調べた。
24場すべてを並べて検定したが、場による差は偶然の範囲に収まった。 (カイ2乗検定で p = 0.66)。一覧にすれば当然いちばん低い場といちばん高い場ができるが、24場も並べれば、どれか1つが全体からずれて見えるのは普通のことだ。ずれた1つを取り出して「この場は入れ替わりやすい」と書くことはできない。
グレードも同じだった(p = 0.09)。SGだけ高く見えるが、対象が少なすぎて差とは言えない。
レース番号は検定では差が出た。1Rから12Rに向かって、維持率がきれいに上がっていく。ただし調べ直すと、後半のレースほど1番人気と2番人気の差そのものが開いていた。差の大きさをそろえて比べると、前半と後半の違いはほとんど消える。「後半のレースは入れ替わりにくい」のではなく、後半のレースは1番人気が抜けていることが多い、というだけだった。
独立に効いていた条件は、1番人気と2番人気の差ひとつだけだ。 場もグレードもレース番号も、それ自体では効いていないか、差の大きさの言い換えだった。
この数字は何から作ったか
- 対象期間: 2026年7月23日〜8月29日
- 集計に使ったレース: 4,787レース
- 締切1分前の人気順: 自前のポーラーが記録したオッズの安い順
- 確定の人気順: 公式サイトの過去レース「締切時オッズ」の安い順。取り込み時に、的中した買い目のオッズが公式の払戻と一致するかを1レースずつ照合している
- K帳票の人気順(popularity)は使っていない。あれは的中した買い目にしか無く、全120通りの母集団を作れないため
- 除外1: 締切1分前のオッズが記録されていない157レース
- 除外2: オッズが同値で1番人気が1つに定まらない88レース(2番人気は170、3番人気は183)
- 上位3つの顔ぶれ: 3つとも同じ 67.1% / 2つ同じ 31.4% / 1つ同じ 1.4%。平均 2.66個
- 上位10の顔ぶれ: 平均 9.21個 が同じ
- 場・グレード・レース番号に差があるかの検定(1分前1番人気が確定でも1番人気だった割合):
- 場: カイ2乗 19.6 / 自由度 23 / p = 0.66 → 偶然の範囲(差があるとは言えない)
- グレード: カイ2乗 6.5 / 自由度 3 / p = 0.09 → 偶然の範囲(差があるとは言えない)
- レース番号: カイ2乗 41.1 / 自由度 11 / p < 0.001 → 偏りあり
締切1分前の画面は、まだ確定していない
締切1分前の1番人気は、84.6%の確からしさで確定の1番人気でもある。残りは入れ替わるが、遠くへは行かない。そして入れ替わるかどうかは、その画面に出ている2番人気との距離を見れば見当がつく。繰り返すと、これは人気の順位の話で、どの艇が勝つかの話ではない。
オッズそのものがどれだけ動くかは前回の記事にまとめた(締切1分前から確定までに、オッズがどれだけ動くか)。あわせて読むと、最後の1分に何が起きているかがひととおり分かるはずだ。
払戻そのものが画面の倍率とどれだけ違うかは競艇で当たった3連単の払戻は、締切30分前に見た倍率とどれだけ違ったか、急に下がった目が実際に来たのかは競艇で締切前にオッズが半分以下になった3連単は、来やすくならないにまとめた。
締切前のオッズの推移はトップページから見られる。